きれいな色といでたちをした果物「レンブ」。その歯触りはサクサク軽く、みずみずしい。味はといえばどこか梨のようでもあり、渋みはあるものの、さわやかで清涼感に溢れていて、見た目とともにのどの渇きを癒してくれます。
沖縄ではデンブ(デンブー)とも呼ばれています。「デンブ」、巻寿司に入ってるピンクのフワフワしたやつと同じです。色も似てるって言えば似てるかもしれません。中国語では蓮霧(リェンウー)、他の国々では、rose apple, wax apple(英語)、チョンプー(タイ語)、マン(ベトナム語)、などと呼ばれるマレー原産の果実です。マレー原産なんですね。南米原産の野菜は数多いけれど、マレー、東南アジア原産だから、あんなにさっくり軽くて慎ましやかなのかもしれません。
蓮霧(リェンウー)− レンブの醸し出すあの清々しさは、ひんやりした霧が優しく清涼に肌にまとわりつく感触を彷彿させます。またレンブの佇まいはまさに中国的で、蓮のような端正さを備えています。「レンブ」という名前はこの「蓮霧(リェンウー)」が由来なのでしょう。詩情溢れ、まさに名は体を表す、すてきな呼び名です。
蓮霧に限らず、芭楽(バンシルー)や月桃(サンニン)なども、漢字で書かれていると、よりいっそう風情を感じ、想像力をかきたてられます。
ところで先日買ったレンブはずいぶん小ぶりで、いつも眼にしている控えめな色とは全く違う鮮やかな赤色でした。切ってみるとイチゴのように鮮烈な色が目に飛び込んできます。でも一口齧ってみれば、それはやはりレンブのさわやかな味わいでした。レンブにもいろいろな種類があるんですね。
妖艶で濃厚なマンゴーや、くらくらするような魅惑的な香りのバンシルーとは正反対の、軽やかで清々しいレンブ。ちょうどマンゴーがその最盛期を終える頃になると、庭先にたまたま実っていたとおぼしきレンブが共同市場の店頭に並んでいたりします。
【食べ方】 洗って冷やして、そのまま切って食べます。冷麺に入れたりサラダに入れれば、涼やかな夏の一皿に。もしもあくっぽさが気になるようなら、皮を剥いて切ってから薄めの塩水にさらせばいいよと地元の人に教えてもらいました。
ちょっぴり控えめで、とてもきれいなレンブ。レンブのように、さっくり清々しい人生もいいかもしれません。レンブ、好きなフルーツです。
台湾では品評会まであるみたい。
扱いも全然違って、緩衝材で丁寧に包まれております。
こういう清々しい果実を大事にしている人たちは、
根本のところで信頼できそうな気がします。
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