料理の本で見かけことはありましたが、見たことも、もちろん食べたこともなくて、どこか憧れのフルーツだったのがこの「スターフルーツ/五歛子(ごれんし)」です。
沖縄へ移り住んで間もない頃、仕事の関係で沖縄北部、たしか東村のある家へおじゃましたことがあって、帰り際に庭のその辺から取って来てこれどうぞーと差し出されたのがスターフルーツでした。
とは言っても、一緒にいた上役の人へ手渡されたので、私は傍目でスターフルーツを眺めただけでしたが、憧れのスターフルーツが気になってしょうがなかった。そして実際にスターフルーツを味見することができたのは、その後数年経ってからでした。
スターフルーツ/五歛子(ごれんし)、きれいな黄色をしたまさに星形のフルーツです。何が好きかって、この黄色が大好き。レモンとかバナナとかも黄色いけれど、透き通ったようなつやつやした黄色がすごくきれい。
まさに五角の整った星形をしていますね。四角は「四角豆」、五角はこの「五歛子」、六角、七角は素通りして、「八角」は台湾料理になくてはならないスパイス、九角を飛び越して、「十角」はあのトカドヘチマ(十角糸瓜)といった具合に、角数とりどりの野菜や果物がいろいろあります。
さてこのスターフルーツですが、最初食べた時にはなんだかちょっとがっくりでした。あくっぽくて、風味もあるようなないような微妙な味。皮をむいたらいいのかなといざ皮をむき始めたら、剥かなきゃならない面が10面もあるからかなり面倒です。
のちのちわかったのは、五角ある角の尖っている部分が渋さを感じさせるということ。この部分を筋をすくように削ぎ取れば、皮は剥かなくてもおいしく食べることができます。そういえばトカドヘチマも同じように角を削ぎ取って料理しますが、向こうは十角、こちらはその半分の五角だから楽勝でしょう。
まだ熟しきらないうちは、実の色が青みがかっていますが、熟すに従って黄色へ、そしてその黄色ももっと濃い黄色へと変化し、少しずつ甘味も増していきます。
どちらかと言うと、レンブのようなさわやか系の南国フルーツ。マンゴーのようにかぶりついてたくさん食べるのではなく、薄くスライスしてその彩りや形を楽しむのがよいかもしれません。
南国フルーツって、なぜか人を惹きつけてやまないところがある。南国的な甘い香りと濃密な味、あでやかな色と、ヴァリエーション豊かで個性的な佇まい。南国フルーツは見ていてももちろん食べても、とても楽しい気分になります。庭先にスターフルーツの木があったらいいのになーなんて思ったり。
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