カニステル(エッグフルーツ)

思わず手に取りたくようなかわいらしい卵型、つやつやした黄色が目に鮮やかな沖縄フルーツ「カニステル」。外見からは、ジューシーで甘酸っぱくてフルーティーな果実を想像しますが、実際に口にしたカニステルは、果物らしからぬ野菜ライクな食味で、でも甘くてどこかフルーツ的な不思議な沖縄果実です。

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20年近く前、沖縄に来て間もない頃に、カニステルのその姿と色に惹かれて買ってみた記憶があります。でもカニステルの味は全く覚えておらず、またその後2度と買わなかったことから察するに、どうもあまり良い印象のフルーツではなかったらしい。

那覇の市場周辺の果物屋さんでは、ほとんどカニステルを見かけることもなく、ごくたまに店頭の片隅にちょこんと居心地悪げに並べられていたりします。しかし先日、7月に入ってすぐのこと、東風平の共同売店で見かけたカニステルは、黄色くてまるっこい姿がとても美味しそうで、値段もかなり手頃だったので、以前のリベンジをと思い買ってみることにしました。

とはいえ、買ってみたもののどうにも食指が動かず、数日の間その存在を忘れたまま、、というより、横目で見ながらも手に取る気になれずに放置状態でした。そしてある朝、目にとまったカニステルの黄色の肌が、だいぶオレンジがかってきたような気がして手に取ってみたところ、なんとその身がぱっくりと割れ始めていました。これはいかん、早く食べなくては、、

カニステル

人間その気にさえなれば即行動するもの。早速その身を割ってみます。カニステルの実の中には枇杷の種のような黒い種、そして黄色い果肉はジューシーさの微塵のかけらもなく、ぱさぱさもっさりしております。手でちぎって口に運んでみると、粉粉した身がぽろぽろ崩れて、食感はまるでカボチャか茹で卵の黄身みたい。でも予想外に甘くて意外とおいしい。ひと呼吸おいた頃、どこか遠くでフルーティーな香りも漂います。記憶にあるカニステルより全然いけるかも。

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でも、、、、味的にはそんなに悪くないけれど、食べると喉が渇きそうなフルーツというのは、ちょっと微妙です。カニステルという名前からして、食欲が減退しそうな、フルーツらしからぬ名前で、まさにその体を表しているとも言えるのですが。でも名前変えたら、もう少しメジャーに近づけるような気も。。

名前を変えるのも一からやり直すことになって大変なので、その前にこの粉っぽさを中和したらいいんじゃないかとオリーブオイルをかけてみます。するとその身にオリーブオイルがみるみる染込んで、しっとり濡れたより鮮やかなオレンジに変わりました。これはサラダに入れてみるのもおもしろいかもです。となればいっそのことカボチャっぽくマッシュして、カニかまと一緒にマヨネーズであえてカニカボサラダなんていうのもいいかも。もしくはカボチャプリンを目標にカニステプリンとか。ちょっと手を加えたら面白いメニューができそうです。

、、とここまでなんだかんだと書きながら、2個買ったカニステルのうちひとつは、その後も冷蔵庫に放置されていることを告白しておきます。その姿と味のギャップから不遇な扱いを受ける沖縄果実カニステル、でもこんなやつに限って、細々と、淡々と、末永く生きながらえるに違いありません。

頑張れカニステル。

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