イーチョーバー/ウイキョウ(茴香)/フェンネル

「イーチョーバー」は、ふわふわ軽やかな葉っぱをもつセリ科のハーブです。フェンネル/フヌイユと呼んだほうがなじみ深いかもしれません。こういうふわふわした葉っぱを見ると、つい手をかざしてその感触を確かめたくなるのは私だけでしょうか。

イーチョーバー

イーチョーバー

イーチョーバーという名前は「胃腸葉」に由来し、沖縄ではその名の通り胃腸薬として食されているヌチグスイです。日本名の「ういきょう(茴香)」という呼び名も「イーチョーバー」と似ているので、名前の由来と関係あるのかもしれません。

ふわふわした葉を鼻に近づければ、甘い香りが漂ってきます。先っぽをちぎって食べてみると独特の癖があってやっぱり薬っぽい。この甘くやさしい香りは、魚料理と合わせると臭みとりになり、沖縄では魚汁に入れたり、ひらやちーに刻んで入れたりします。生だとちょっと食べにくいけれど、食材と一緒に加熱すると香りが際立って食欲が増してきます。

洋食では魚を蒸し煮にする時にフェンネルの葉をふわりとのせて臭みをとったり、クリームソースに刻んでいれたりします。甘い香りはクリーム系によく合いますが、オイルを使ったパスタに混ぜ合わせてもおいしいです。また大きく太ったフェンネルの株は、スライスしてサラダにしたり、蒸し煮にして付け合せとして食べたり、とても重宝されています。

そういえばインドでもフェンネルのちっちゃな実をカレーに使ったり、またカレーを食べ終わってから口臭消しに実をそのままかじったりもしますね。インド料理屋さんのレジ脇によく置いてある、あの色づけされたカラフルな実がフェンネル/イーチョーバーです。

イーチョーバー

「イーチョーバー」に限った話ではないけれど、体に良いといわれるものは誰がどう発見したのか大昔からその効能が知られています。昔から伝わる人知というのはホントにすごい。ここ沖縄でも食べ物をヌチグスイ=命の薬ととらえて毎日の生活にとりいれられてきたわけですが、最近は食生活の変化にともない、こういった知識もないがしろにされがちです。

とはいえ、沖縄のスーパーの野菜売り場にいけば、「イーチョーバー」とか「にがな」とか「サクナ」のような、本土では目にすることのない薬草的な野菜がいまだ普通に売られています。たまには意識してこういったヌチグスイを使い、新しい料理のアレンジに挑戦してみるのもなかなか楽しいと思います。

イーチョーバー

畑の片隅の「イーチョーバー」はかわいらしい黄色い花が満開です。

イーチョーバー

イーチョーバー

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