バンシルー(グァバ)
毎週日曜日の朝は買い出しの日です。南風原の「JAおきなわ くがに市場」を皮切りに、大里の「軽便駅かりゆし市場」から東風平の「アグリハウスこちんだ」をまわり、時間が押していたらそのまま那覇へUターン、時間がある時はそのまま糸満の「いとまんうまんちゅ広場」、そしてまだまだ余裕があれば豊見城の「食菜館 菜々色畑」まで一気に巡るすばらしき沖縄野菜&沖縄果実ハンティングツアーであります。
空は青く澄み渡り、まわりの緑はピカピカに輝き、吹く風は肌を優しくなで、仕事に行かずにそのまま海へ直行したくなってしまいますが、そこはひと我慢して市場をまわります。それぞれの市場ごとに特徴があって、あそこは葉野菜がいっぱいとか、あそこに行くとドラゴンフルーツが安いとか、バナナが豊富なのはあそこで、掘り出し物的なものを見つけるならあそこに限るとか。それぞれの市場に生産物を持ち込む農家さんが違うので、みんなそれぞれの特徴があっておもしろいです。
そして思いもかけないものや、とびきり安い掘り出し物を見つけた時は、使うかどうかかもわからぬまま、ついつい大人買いしてしまって、バイクに積むのが一苦労みたいな状況になることもしばしば。
今日思わず爆買いしたのは-と言ってもしょぼい爆買いですが-バンシルーでした。まだ暑い盛りの8月頃からあの麗しき芳香を放って売られていたバンシルーですが、10月の終わりに見かけたのを最後に、いつの間にか市場の売り場から姿を消してしまいました。もう来年の夏まであの芳香を楽しむことはできないんだなーと完全にあきらめた矢先のこと。南風原のマーケットで見つけたのは、見慣れた丸いバンシルーではなく、洋梨型、アボカドのような姿のバンシルーです。
形はやや異なるけれど、鼻を近づけるとまぎれもないあのバンシルーのめくるめく香りが。手触りからするとほぼ食べごろの柔らかさ。そしてそのまままわったかりゆし市場でも、丸い緑のバンシルーを発見。けっこうな固さだけど即買い、と後ろを振り向くとあの洋梨型のバンシルーもあるじゃないですか。バンシルーだらけでひとりでテンションあがってました。
さてこのバンシルーですが、中国名の蕃石榴からきているようです。和名はバンジロウ、一般的にはグァバと呼ばれていますが、その種類はたくさんあるみたいです。たしかにこの夏あちこちのマーケットで集めたバンシルーは、その実がピンクだったり、白かったり、クリーム色をしていたり、また皮も緑だったり黄色だったり黄緑だったり。大きさも拳より大きいものから、ビー玉くらいのものまで、ほんとうに様々なバリエーションが。そして丸型に加えて今回は洋梨型のバンシルーです。
今年の夏はいろんなバンシルーに出会いましたが、その味はというと、、、当たり外れがかなり大きく、外した時の喪失感はけっこう効きます。固いからといって外に放置して追熟させようとしても思ったように熟してくれず、柔らかくなる前に傷みだしたり、いくら待っても熟さずに固い緑のままだったり。味も酸味が強かったり、苦みがあったり、匂いも弱かったり、種がやたら多かったりなどなど…
でも美味しいバンシルーに出会えた時はかなりうれしいです。あの素晴らしい香りとねっとり感、複雑なうまみと甘み。種は口に残るけれどそんなこと全く気にならなくなります。あの複雑なうまみは他の果物にはない、いわゆる味があるっていうかんじ。
なんだかいつの間にかバンシルーを語っている自分に気づきました。考えずにすらすらとキーボードを打っております。知らぬ間にバンシルーフェチになっていたようです。沖縄の人もバンシルーが好きな人が多いみたいで、多くの人は子供の頃バンシルーの木から直接実をもいで食べた美味しさの記憶を話してくれます。
最後になってしまって主客転倒気味ですが、グァバ、バンシルーの実にはビタミンCがとても豊富に含まれ、その他のビタミン群やカリウムも含む栄養の宝庫であり、またその葉にもポリフェノールが含まれてお茶として服用されるなど、多くの効用を持つ偉い作物です。そしてコウモリの好物であることも付け加えておきます。
バンシルーの木、庭があったら絶対植える。