玉城の島野菜直売所「花野果村」

花野果村から

沖縄に10年近く暮した後、内地へ戻って5年近くたつけれど、今でも心に残っている場所がいくつもあります。そんな中でも読谷のユーバンタ浜と、玉城(現在の南城市)にあった島野菜の直販所「花野果村」は、ひと際鮮やかにその光景を思い出すことができます。ユーバンタ浜は地元の人が行くような小さなビーチで、わざわざ出かけてはその頃撮り始めた写真を撮ったり、夕暮れを待ってはぼんやり夕陽を眺めたり、今なおとても懐かしい場所。

一方「花野果村」へはそれ以上に足しげく通いました。那覇市内からだと、南風原から大里へ抜けて島の南端までだからそれなりに時間がかかったけれど、それでも仕事で使う島野菜を買いに車を走らせました。鮮やかなコントラストを持って湧き上がる雲や、道端に広がるうーじ畑を見ながら南へ向うと、突然のように海が目に飛び込んできます。太平洋です。そこから海沿いにほんの少し西側へ向った所に「花野果村」はありました。

鉄骨でできたむき出しの大きな建物は、お世辞にも華やかなものではありませんでしたが、建物の中に入ると、外のまぶしすぎる沖縄の光に慣れていた目にはちょっと薄暗く感じる広いスペースに、様々な島野菜や果物や地元の食材が並べられていて、ふと目を上げれば向こうにあるベランダ越しに、青くきらきらと光る太平洋が望めました。

島野菜は陳列台に適当に置かれていて、こっちにはいろんな形をしたでっかい島カボチャがごろんごろん、向こうには大小さまざまなシブイが山のようにごろんごろん、その辺には袋に入ったゴーヤーやナーベラーが山積みで、時期になると目を疑うほど安いマンゴーがプラスチックの容れ物に無造作に入って並んでいたり、何気なく枝付きのローゼルの束が花束に見紛うように飾られていたり、隅っこにはちょっぴりしなびかけ始めたクレソンンの束、そしてベランダ越しに広がる太平洋と、駐車場の脇には島バナナの木がさわさわと風に揺れている、そんな光景がくっきりと思い出せるくらい今も記憶に残っています。

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昨年末に久し振りに沖縄へ行ったけれど、その時ちょっと時間ができてまっ先に向ったのがこの「花野果村」。でもあったはずの場所には「花野果村」は見当たらず、ひょっとして記憶が間違っているのかと、行ってはUターンして戻り、また引き返しと何回か確認してみたけれどその建物さえ見当たりませんでした。

そうか、取り壊されて無くなってしまったのかと、本当に寂しい思いを抱きながら道を行くと、目に入ったのが「花野果村」の看板。以前は海側にあったけれど、山側の道沿いにあるきれいな建物が新しく移転した「花野果村」のようです。でも、中には入ることができなかった。お店の中を海からの風が吹き抜けていく昔の「花野果村」が懐かしすぎるのか、なぜか入ろうという気分になれませんでした。

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そして先日のこと、沖縄野菜の通販サイトを検索していたらあるショップを発見しました。「花野果村」のショッピングサイトです。「花野果村」の島野菜を取り寄せできるなんてなんだかうれしいな。まずはお試しセットから取り寄せようと思ったら、ちょうど台風がふたつ続けて沖縄近くを通過していきました。

沖縄の台風はものすごく強烈で、むき出しの沖縄の島をなめるように揺さぶるので、台風が過ぎ去った後は一気に野菜が品薄になります。台風で壊滅してしまうから。でも沖縄の農家の人たちはナンクルナイサーと、さほど気にするそぶりは見せません。

そういうわけなので、もう少し経ってからこの沖縄野菜セット注文してみようと思っていますが、あの「花野果村」セレクトの沖縄野菜セットってどんなの?と、とても興味があります。できれば島らっきょうとか、うりずんとか、そんな島野菜が入ってたらいいなーという期待もあるし、あの沖縄のことだから、喜びの驚きか落胆の驚きか奇想天外な驚きかはわからないけれど、きっと何か予想外のことがありそうで、注文する前からちょっと楽しみです。

沖縄リトルプレス「ぱぴる文庫」を作りたいと思った原動力のひとつが、この「花野果村」であり、このサイトで紹介しているいくつもの島野菜や果物はここで買って写真を撮り、その後お店で使ったものなのです。僕にとっては、沖縄を思い出す時に一緒に思い出すのが、この「花野果村」なのです。

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上のコピーにある名水百選は「垣花樋川」(かきのはなひーじゃー)。
近くの山の中腹にあり、綺麗な水がコンコン湧き出していました。

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